言葉の魔術師 2016 9 10
2016年9月9日の産経ニュース電子版には、このような記事がありました。
アメリカ政府高官、稲田朋美防衛相に「アメリカは、日本を守る」
ラッセル国務次官補は9日、稲田朋美防衛相と防衛省で会談し、
北朝鮮が核実験を強行したことについて、
「アメリカが持つすべての能力を使い、
アメリカと日本、そして韓国のような他の同盟国を守る用意がある」と述べた。
(引用、以上)
このニュースを聞いて安心した人は、平和ボケしています。
「アメリカは、日本を守る用意がある」と言っていますが、
具体的には、日本をどう守るのか不明です。
北朝鮮が日本を攻撃したら、日本を守るのか。
もっと具体的には、北朝鮮が核弾頭ミサイルで日本を攻撃したら日本を守るのか。
しかし、核弾頭ミサイルで攻撃された後では、
日本は回復不能の甚大な被害が発生しています。
そうであるならば、日本が攻撃される前に、
アメリカは、北朝鮮を先制攻撃するのか。
ラッセル氏の発言は、言語明瞭、意味不明の状態です。
本来、アメリカは、契約社会なので、言葉は、正確かつ精密に使うはずです。
ところが、安全保障に関しては、
アメリカは、日本人のように曖昧な言葉を使うのが好みです。
ただでさえ、アメリカは、北朝鮮の核開発問題に関しては、
この20年間、話し合いで解決しましょうという立場でした。
20年間も話し合った結果、核兵器保有国となった北朝鮮が出現しました。
言葉の魔術師であるアメリカと、
それを楽観的に考えてしまう「お人好し国家」の日本。
川柳の日米関係 2014 1 4
私は、1月3日になって気づいたのですが、
2013年12月22日の日本経済新聞Web版には、このような記事がありました。
「倍返しできぬ甘ちゃん米大統領」
「倍返しできぬ甘ちゃん大統領」
2013年を振り返る「世相川柳」に、こんな作品があった。
倍返しできない「甘ちゃん大統領」は、だれか。
オバマ米大統領らしい。
(引用、以上)
2013年の人気テレビドラマ「半沢直樹」では、
主人公である半沢直樹が、
「倍返し」という「2倍の報復」を示唆するセリフを言うことによって、
強い相手に対して、抑止力を発揮するという場面がありました。
このテレビドラマは、
いつの間にか、中国に「輸入」され、
中国においても、人気ドラマとなりました。
事態は、深刻です。
このような川柳が、外交関係者によって作られたならば問題ありませんが、
日本の庶民が作ったとなると、事態は、深刻です。
日本の有権者は、とっくの昔に、
オバマ大統領の本質を見抜いていることになります。
これでは、日本政府の外交の選択肢が狭くなってしまいます。
日本の有権者が、オバマ大統領のことを、
「倍返しできぬ甘ちゃん大統領」と見なしているならば、
安倍首相が取り得る選択肢も狭くなります。
下手なことをすれば、有権者からの突き上げがあるからです。
日本の有権者が、
オバマ大統領を「甘ちゃん大統領」と見なすのは、
仕方ないことかもしれません。
オバマ政権は、シリア問題に関して、
迷走に次ぐ迷走で、挙句の果てには、
アメリカにとって宿敵であるはずのロシアから、
助け舟を出してもらうような状態でした。
温厚な日本人が、オバマ大統領を「甘ちゃん大統領」だと思っているならば、
当然、中国では、多くの人民が、そう思っているでしょう。